「帰宅風景」
1
「・・・ミサトさん、今日も遅くなるのかな・・・」
シンジは、考え事をしたまま、人の流れとともに、駅の改札を通った。
今日は、土曜日で学校は半休。ネルフ本部での訓練も終えて、葛城ミサトの
自宅のあるコンフォートへと帰る途中であった。
アスカは、新兵装のテストのため、2時間ほど居残りである。
(・・・途中で、商店街によって行こう・・・・)
シンジは、今朝見かけた特売のチラシを思い出して、一人うなずいていた。
環状リニアは、下校途中の学生達でほぼ満員だった。時刻は4時過ぎ。
「わっ・・・と・・・うっ・・・・」
自己主張の苦手なタイプであるシンジは、ぐっ、ぐっと人の流れに押されて、
反対側の入り口近くまで押されてしまった。座ることは元から期待していないが、
20分ほどの乗車時間は、かなり辛いものになりそうだった。
「はぁ・・・・」
乗車してきたのとは反対側の入り口の、ドア近くに華奢な体をおしつけられた
シンジは、なんとか体をくねらせて、手すり近くの、わずかな空間に体を
滑り込ませた。第三新東京市に越してきて数ヶ月、満員電車の「楽な場所」も
ようやく身に付いたようである。
だが、シンジは、まだそれでも経験が足りなかったと言える。
その空間は・・・いわゆる「痴漢」にうってつけの場所でもあるのだった。
2
(・・・えっ・・・)
シンジ少年は、びくんと体をふるわせた。
彼の、細い腰の辺りを、さわっとなでられたのである。
壁のほうをむいていた姿勢のまま、必死に顔をめぐらせて背後を見るが、
かわった人は見あたらない。時間のせいか、ほとんどが学生。同じ中学の
制服や、近くにある高校の制服にまじって、ちらほらと営業らしい会社員
の姿も見られる。
だが、自分の近くは、ほとんどが学生・・・しかも女子・・・である。
それらしい人は見られなかった。
「・・・・ひぁっ!」
今度は、シンジは息を吸い込むような小さな悲鳴を上げてしまった。
リニアの走行音と周囲のざわめきで、聞いたものはいなかっただろうが・・・
シンジの制服のズボンのお尻を、つーっと、誰かの手のひらが撫でていったの
である。
(いまの、絶対、偶然じゃない!!)
また、周囲を懸命に見回すシンジ。多少、乗り降りがあったようだが、
自分に触れられるぐらいの距離にいるのは、全員女性である。
(ほっ・・・よかった・・・じゃなくて!)
少なくとも、へんなお兄ちゃんに悪戯されているわけではないことは
わかって、一瞬安心するシンジ。が、問題は全く改善されていない。
奥手なシンジは、「痴女」だの「ショタコン」だのという物騒な人種に
冠する知識は、無いに等しかったのである。
3
と、リニアがカーブにさしかかったのか、ぐうっと人の流れが傾く。
シンジのほうにも、周囲の女子達がぐっともたれてきた。
(・・・・ぅわぁっ!)
今度は唇を結んでいたので、なんとか悲鳴は上げなかったシンジ。
だが、壁に押しつけられるように姿勢のまま、全身をびくっと振るわせた。
一つの手が、するっとその細い腰に巻き付き、もう一方の手が、シャツと
裾から、草むらを走り抜ける蛇のような素早さで、シンジの胸元へと
滑り込んだのである。
同時に、背中に、ふわっとした弾力のあるものが押しつけられる感触。
背中から、抱きしめられているとわかって、身動きのとれないまま
顔を真っ赤にして硬直していた。
「・・・・くすくす・・・・」
耳元で、まだ若い・・・多分、まだ20には届いていないと思う・・・
女性のささやくような笑い声。
(あ・・・やっぱり、女の人だったんだ。よかった・・・いや、良くない!!)
なんとか身をよじって相手を確認しようとするのだが、どこをどう押さえられ
ているのか、体をよじることもできなかった。
「・・・驚いた。意外と、可愛い顔してるのね、サードチルドレン?」
4
耳元で、甘い香りのする声が、そうささやいた。びくん、と別の戦慄に
体を震わせるシンジ。
(どこかの・・・敵対組織!?)
反射的に、ポケットの中に手を入れるシンジ。緊急用の本部直通コールボタン
が入っている。だが、ポケットの中には、そのボタンはなかった。携帯電話も、
財布も、学生証すらも無いポケットは、むなしく布地の感触だけを伝えてきた。
「・・・無駄よ、動かないで。」
耳元の声が、小さく、鋭くささやく。
「さっき、貴方の持ち物は、すべて預からせて持ったわ。
・・・抵抗しなければ、後で返却するから。」
シンジの体を、ただまさぐっていたわけではないらしい。
「抵抗しない限り、貴方の安全は保障されるわ。ただ、抵抗すれば・・・」
シンジの裸の胸元に差し込まれていた手が、わずかに上に移動し、
シンジの喉を、細い指がそっと挟んだ。
そして、シンジの腰に回されていた手は、あくまでも優雅な動作のまま、
シンジ少年のベルトをゆるめて、学生ズボンの中へ・・・・あまつさえ、
お気に入りのトランクスの中へ・・・するりと滑り込んだのである。
5
「うぁっ!!」
さすがに今度はかなり大きな悲鳴を上げるシンジ。あげてしまってから、
恥ずかしさに真っ赤になりながらも、誰か気づいてくれないかと周囲を見
回す。が、いつの間にか、様々な制服・・・主に、近くの高校だ・・・・
の女子が、まるでフェンスでも作るかのように、周囲をぐるりと囲んでいて
それ以外は視界に入らない。みな、すべてシンジより背の高い少女達である。
「・・・もしかして・・・・」
青ざめたシンジに、背中に張り付いた少女が残酷な言葉を伝える。
「サードチルドレン、あきらめて。周囲は、みんな私の仲間よ。」
二の句も告げないシンジ。その時、体勢がわずかにかわって、背中から
彼を抱きすくめている、その少女の顔が、ようやく目に入った。
「・・・初めまして、サード?」
「・・・・・・・」
緩くウェーブのかかった、背中まである黒髪の少女だった。利発そうに
はっきりした目の、かなりの美少女である。シンジの中学校のすぐそばの
女子校の制服を着ていて、17.8才ほどに見えた。
「これから、4つ先の駅で降りてもらうわ。良いわね?」
「・・・・」
無言のままでうなずくシンジ。ここならばともかく、一度リニアを下りて
しまえば、常に自分たちの護衛についているネルフのガード達が気づいて
くれるだろう。それまでは、言うことを聞いていた方が得策だ。
何より、「貴様の息子は預かった」という状態では、抵抗のしようもない。
さらに、問題なのは・・・・
「協力的でたすかるわ。・・・えっ?」
笑顔のまま、小声でささやいた少女の表情が、微妙に変わる。
少女の右手が「捕らえて」いるシンジ少年のペニスが、その重さと大きさ
を、一気に増しているのに気づいたのである。
6
「・・・・大した度胸ね、サード・・・」
あきれたような、笑いを含んだ声に、うつむいてますます顔を真っ赤にする
シンジ。自分の命が危機にさらされているというのに(むしろ、そのせいかも
しれないが)自分の意志とは全く無関係に、彼のペニスは痛いほど堅くなって
しまった。
13.4才の中学生である。目覚めている時間の9割までが「性」に向いていて
当然な世代の上、目の前の少女は美女・美少女には慣れているはずのシンジも
十分に綺麗だと思わせるほどの美少女である。その彼女に、電車の中で、自分
の性器を、じかに触れられている。しかも、周囲にたくさん人のいる、満員の
電車の中でという非日常的な感触が、いっそう彼を興奮させていたのだろう。
「・・・・でも・・・・」
それまで、威嚇するように睾丸の部分をもてあそんでいた細い指が、シンジ
の張りつめたペニスの先端を、優しくなでさすった。
「・・・・別に、こういうのも悪くないけど・・・・」
シンジは、思いもかけない相手の台詞に、泣きそうな表情を浮かべた。
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